家づくりがしたい

家を安く提供できない

ここまでは誰もがよく知っているニューヨークだ。しかし、さらに北上すると、もうひとつの顔が浮上する。建物がだんだんとなくなり、木々におおわれた緑の風景。南北のギャップに驚かされる。
レ羊こうした静かな環境のなか、ハドソン川を見下ろす丘の上に、クロイスターズという中世美術のミュージアムがたつ。トマス·ホ-ヴィングの『謎の十字架』(文藝春秋)を読んで以来、訪れたかった場所である。この本は後にメトロポリタン美術館の館長になった著者が、11世紀中頃に制作された秘宝の十字架を獲得するために、他の美術館と駆け引きを行い、ミステリー小説さながらの活躍をするというノンフィクションだ。

クロイスターズは、メトロポリタン美術館の別館だが、収蔵品だけではなく、建築そのものが興味深い。なんとヨーロッパから移築した中世建築の断片をつなぎあわせながら、全体を構成しているからだ。
例えば、ある扉はフランス、別の扉はイギリス、あるいはイタリア、またチャペルはスペイン、様々な装飾の柱頭が並ぶ目玉の回廊はフランス、ステンドグラスはドイツやオーストリアという風に。すべてがオリジナルでありながら、コラージュによって新しい中世の空間が誕生している。特徴的なのは、ロマネスク半円のアーチを多用する教会の様式の建築が多いこと。ヨーロッパでも、ロマネスクは都市部と離れた場所に建っていることが多く、なかなか見学しにくい。そうした意味で大変にありがたい。
だが、アメリカの経済の聖地のすぐ近くにおいて、各地のロマネスク建築を体験できるのは、なんとも不思議だ。
もともと二0世紀初頭にアメリカの彫刻家ジョージ·グレイ·バーナードが、フランスに滞在中、建築の断片を収集したのが出発だった。
今よりも広い部屋

それをロックフェラーが引き取り、教会建築家のチャールズ·コレンズに設計を依頼し、一九三八年にクロイスターズが開館する。アメリカは長い歴史がないからこそ、歴史にこだわるのではないか。ワシントンにずらりと整列する、美術館と博物館の文化施設群も、壮麗な国家の顔を演出する。ホワイトハウスや国会議事堂の政治施設も、ギリシアに由来する古典主義のデザインを採用した。
シカゴ郊外のオークパークという町には、アメリカ人建築家フランク·ロイド·ライトの作品が集中している。初期の住宅を数多くまわれる貴重な場所である。ここでライトの傑作、ユニティ·テンプルを訪問した。内部に入ると、解説員が現われ、熱い口調で、えんえんと語りはじめ、思わず引いてしまった。揺るぎない自慢に圧倒されたのである。確かにライトの建築はよい。しかし、静かな環境で、ゆっくりと見る自由だってあるはずだ。解説員に悪意はないのだろうが、その歴史の押し付けがましさに、アメリカの精神の一端を感じた。

ふたたび、日本へ
東武ワールドスクウェア-栃木旅の本の最後を何にしようかと迷った。
冒頭が関西国際空港だったから、ラストも日本の空港にしたいところなのだが、他には建築的にすぐれたものがない。そこで趣向を変えて、世界の縮図であるテーマパークをとりあげることにした。一九九三年にオープンした東武ワールドスクウェアである。

家族がゆったりと暮


買ってから後悔しても遅い③住戸のチェック

なぜ、ディズニーランドでもなく、ユニバーサルスタジオ·ジャパンでもないか。それは通常のテーマパークが、ただ何々風になっている、すなわち建築のイメージだけを模倣するのに対し、東武ワールドスクウェアはきわめて正確に建築を再現しているからだ。いわば、模型の集合体なのである。その制作には資料や図面の調査を行い、五年をかけたと浅草駅から11時間ちょっと。雪の日に訪れた。東武ワールドスクウェアは、世界111か国の10五の有名建築を再現している。つまり、日本、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど、世界一周の旅行を疑似体験できるのだ。丹下健三が設計した国立代々木競技場、ライトの旧帝国ホテル、ガウディのサグラダ·ファミリアなどのセレクションも興味深い。
勉強のために訪れる人は少ないかもしれないが、意外に教育的な場所でもある。エジプトのピラミッド、ローマのコロッセオ、京都の清水寺、奈良の東大寺など、観光地の建築ばかりなのだが、建築史において重要な作品の多くは観光地に存在するから、その価値が減ずるわけではない。結局、観光旅行におけるほとんどの経験は建築を見ることなのだと、改めて気づかされる。
東武ワールドスクウェアで重要なのは、すべての建築が同じ1/25のサイズになっていることだ。
大手メーカーなら大丈夫

家試験は受かってい

ロッテルダムにもマドゥローダムという建築ミニチュアの世界があるのだが、縮尺はばらばらである。
東武ワールドスクウェアでは、ガリバーになって、世界各地の建築の大きさを比較できるのがありがたい。例えば、ミラノの大聖堂と銀閣寺のサイズをすぐに確認できるのだ。実際にミラノと京都を飛行機で移動すれば、どんなに急いでも1日はかかるだろう。日本の木造建築がいかに小さいのかがよくわかる。逆に、アメリカ·ゾーンでは、もはや存在しない世界貿易センタービルを見学できるのだが、125にしても一七メートルもの高さであり、四階建ての建物に匹敵する。

模型では、彫刻などの装飾も再現しているが、周囲にいる群衆も制作していることには驚かされた。
よく観察すると、一人一人の洋服も違う色に塗りわけている。通勤ラッシュ時の東京駅や映画『ラストエンペラー』87ベルナルド·ベルトルッチ監督を撮影時の故宮などは、目を疑うような細かさだ。


家は借りているときに何かが壊れれば大家づく

家になってしまった収納が全然足りない

筆者が西洋建築史の講議において、東武ワールドスクウェアで撮影したアクロポリスの丘の写真を紹介したとき、説明するまで、模型だとはなかなか気づかないほどの精度なのだ。にわかに信じがたい数字だが、身長七センチの人形が全部で一四万体もあるという。
ちなみに、件だった。
現代日本ゾーンでは、成田の新東京国際空港も制作されている。
もっとも面積が大きい物
「これ、何か知ってる?」かつて知り合いから面白いモノを見せてもらったことがある。とりあえず、そのモノを見てもらいたい。四畳半、八畳といった広さの畳敷きの和室、三畳、四畳半の広さの板敷きの板の間、六畳大や八畳大の広さのタイルや絨毯敷きの応接室、11畳と四畳の広さの靴脱ぎ石の描かれた玄関、さらには、四畳の「浴室·脱衣室·化粧室」、二間の板敷きの廊T、長さ九尺の襖の絵柄が書き込まれた押入、といったカードのようなピースがセットとなった代物である。
じゅうたんふすましろもの
一応、近代住宅の歴史の専門家というカンバンを掲げていることもあって、家を新築するために古い荷物を片付けていたら出てきたという。
これ、何か知ってる?
知人が訪ねてきたのだ。
問われて困った。戦前のモノであることは想像できるが、どのような目的でつくられたものなのかさっぱり見当がっかないのだ。
家のおもちゃでよく遊び

家造りからはちょっと遠いやり方だという気


不動産屋でアルバイトでも始めたのかって

それらが自由自在に組み合わせて間取りを考える道具のようなものであることは察しがつくので、とりあえず勝手に自在間取り器と称してその場を煙に巻いて追い返した。
手元にはその謎のモノだけが残されたが、やはりその存在が気になった。
さっそく、戦前期に出版された建築系の単行本を調べると、自在間取り器ならぬ間取板を設計時に活用することを提唱している本に出会えた。一九四0(昭和一五)年発行の長尾勝馬による『新らしい住宅の間取り』である
家づくりにおける最大の楽しみとは長尾は、『新らしい住宅の間取』の中で、住宅設計の心得や実際の設計の考え方、家相の知識を解説し住宅設計の味はひ最後に間取板を使った設計の仕方を述べている。
て、住宅づくりについて触れている。
そうした解説の冒頭で、としすなわち、人生の楽しみは、家業が繁盛すること、長男が成長していくこと、そして、三つ目は「自分の住ふ家を新築する時」であるという。時代を感じさせる言葉だ。しかも、家業の繁栄や長男の成長は意のままにはならないが、三番目の「我が家を新築することは、自分の努力如何では、どんな職業の者にでも出来る」と述べている。住まいづくりだけは、意のままに実現できるというわけだ。

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